期日前投票~~選挙の変容

投稿者:nakajima 投稿日時:水, 2018-02-07 02:15

 米軍普天間基地の辺野古への移転を争点の1つにして戦われた名護市長選(2月4日投開票)は事前の予想に反し、辺野古移転反対の象徴的存在だった稲嶺進・現職市長が敗れ、自民・公明・維新推薦の渡具知武豊・前名護市議が3400票と、相当の差をつけて当選した。
筆者は所用で那覇市に滞在していたので開票経過を沖縄のテレビで見ていた。稲嶺氏有利、少なくとも接戦で最後までもつれると言われていたのに、NHK沖縄放送局は開票開始後1時間余、定時番組を中断し、開票経過では稲嶺候補4500票、渡具知候補4500票と同数で競り合っている段階で「渡具知候補当確」を報じた。戦前の予想に反した早々とした「当確」で、筆者は「NHKは早計ではないか」とその判断をいぶかったのだが、結果は2万389対1万6931と大きく水をあけるものだった。
呆然とする稲嶺候補の選挙事務所には、数度に渡って名護に応援に来た翁長知事が隣に座り、その周りに、翁長氏を知事に擁立した沖縄県の外郭団体のトップがずらりと並んでいた。翁長知事の総力を挙げた選挙戦だったことを思わせる。一方の沸き返る渡具知候補の選挙事務所は見知らぬ地元の支援グループの顔が並ぶ。渡具知陣営には、自民党の幹部、内閣官房長官、公明党の幹部が名護に駆けつけて強力な応援体制を敷いていたが、さすがに開票の時間帯には名護の選挙事務所に集まれなかったようだ。
選挙結果の分析はあれこれされているが、直前までの予想が大きく外れた要因について、筆者が気になったことが2つある。
 1つは期日前投票の多さである。今回の名護市長選では当日有権者の44.4%という多さである。最終投票率は76.9%だったので、当日投票者は有権者の32.5%と、期日前投票よりはるかに少ない。この投票行動がどういう影響を与えたか。もう1つは選挙権年齢の引き下げで若者の投票が増えたことだ。学生運動の燃え盛った時代に育った団塊の世代を中心にした高齢者層よりも、若者層の方に保守志向が強く見られると言われる。事前予想の段階では、マスコミは新たなこのトレンドを読み切れなかったのか?
 期日前投票の増加は、今後の選挙には見逃せない要因だろう。
 昨年10月下旬の衆議院選挙では、投票日が荒天の予報だったので期日前投票が急増したのは記憶に新しい。筆者も投票日前日に長蛇の列の最後尾に並んで期日前投票をした一人だ。総務省によると17年衆議院選は2137万人、有権者数の20.1%が期日前投票をした。選挙ごとに期日前投票の率は高まっており、17年衆議院選では、期日前投票率が50%を超える県がいくつか見られた。
 選挙民は投票日の前日まで、候補者の政見をじっくり検討して誰に投票するか決める、というようなスタイルではなくなったということだ。
 期日前投票の増加は、選挙の公示から選挙運動を公式にする現在の選挙制度が実態に合わなくなっていることを示すものなのだろうか。少なくとも、選挙戦は公示日よりも早く、とっくに始まっている。