相次ぐ「途中退場」に思う

投稿者:nakajima 投稿日時:日, 2017-10-01 07:51

 長い間、JASPAの理事を務め、連合会活動をリードしてきた安達幸詔顧問(74)が9月3日に逝去された。JASPA加盟の中央イメージ・テクノロジー研究開発協同組合の理事長も長く務め、企業としては、ラデックス創業者、元会長・社長、現名誉顧問だった。
 居合抜きの高段者、能の舞をよくし、自ら能面も打つなど多彩な才能を発揮していた。JASPAの賀詞交歓会では長くなりがちな登壇者のスピーチを終了させるタイムキーパーとして無情のベルを鳴らす係も務めた。会長として長いスピーチをしていた筆者は何度も安達さんのベルで打ち切られ、会場の笑いを誘った。そのユーモアももう見られない。
 組合の仲間、先輩以外でも、この夏は訃報に見舞われた。特に70代前半の新聞社の先輩が相次いで亡くなったのはショックだった。
 そのうち1人は自宅前で転倒し、硬膜下出血が致命傷になった。その葬儀を見送ったもう1人の先輩は、日を経ずして大動脈瘤破裂で突然の死を迎えた。「人生90年」の長寿社会。80歳、90歳は楽に生きるだろうと思っていた。体調が崩れても、現代の医学の進展は予想以上の急ピッチ。「再生医療」も現実のものになった。その領域がどんどん広がる。そんなことを話していた先輩たちである。それが70台前半にして別れを告げてしまった。
 そのショックから、ここしばらく同世代の間では「終活」が話題の中心になっている。いつどんな運命が待っているか。
 家族のために、普段は話題にもしなかった預金や不動産、証券類の確認。借金の残高の確認もしておかなければならない。保険類もたまには机の奥から証書を引き出して確認しなければ、と思う。いざと言う時に連絡をする相手のメールアドレスや電話番号のリストのありかも伝えておく必要がある。もしや、密かに外に家族を作ってしまった人はその辺のけじめをつけておかないと残された家族は紛糾する。
家族だけではない。オーナー企業が多いJASPAのメンバーは、企業の継承者、あるいは事業の継承方法を決めて置くことも重要だろう。従業員が増えれば、企業はもはや「私物」ではない。いざと言う時の指示を明確にしておくのは経営者の責任である。
少し、考えすぎかもしれないが、あっけなく他界した年の近い先輩たちの予想外の「途中退場」の姿を見てしまうと、家族への責任、従業員、取引先への責任など、急に気になり始める。
安達顧問は企業の経営は着実に後継者にバトンタッチを終え、組合の理事長も無事に交代し、責任を果たし終えていた。その交代の際には少し早いのではないかと思ったが、今にして思うと、見事な「終活」だった。改めて、安達顧問の功績をたたえ、合掌したい。