「防犯カメラ」で、価値観の変遷を学ぶ

投稿者:nakajima 投稿日時:火, 2017-06-06 02:22

 情報通信関連の技術革新の変化の速さには追いつくのが難しく、慌てふためいてしまうが、もっと困るのが「常識」の方である。その変化に対する抵抗は強く、事態が決定的に変化しているのに、古い価値観が支配的で、新しい事態に適応したルール作りや社会システムづくりに手こずる。その中で変化への価値観の移行に成功しつつあるのが「防犯カメラ」ではないだろうか。
 犯罪多発地帯の新宿歌舞伎町に、地元の商店街組織が防犯カメラを設置する、という方針を発表した際には、「プライバシーの侵害」と、一部の扇動的なマスコミにリードされて、反対運動が高揚して、防犯カメラ設置計画は中断した記憶がある。
 「勝手に通行人の顔を撮影するのは肖像権の侵害」「行動の自由を制約する人権侵害」などの「人権派」の市民運動の激しい抵抗に加えて、地元の商店街からも「歌舞伎町にいる姿が撮影するなら歌舞伎町には行かない、と客足が遠のくのではないか」という反対論も出たが、「歌舞伎町に安全、安心が取り戻せれば、健全な買い物客や町を楽しむ来訪客が増える」という推進派の声が勝って、代表的な街角に多数の防犯カメラが設置された。
 「人権派」の一部の大手マスコミは、半年くらいたって「防犯カメラの効果なし、歌舞伎町の犯罪は減少せず」などの「反防犯カメラ」キャンペーンを繰り返したが、現実には歌舞伎町の犯罪は減ったようで、街のイメージは大きく変わりつつあるのを感じる。
「防犯カメラ」について、抵抗勢力は「監視カメラ」と呼んで、「防犯」ではなく市民を「監視」し。警察国家を作るのが目的だと主張したが、それを考慮して「推進派」は「防犯」を強調するようになった。実際、その後、マンションで事件が起きた際にはエレベーター内に設置したカメラの画像で犯人の早期に特定されて一挙に解決される、早朝に被害者が発見された殺人事件も、深夜にコンビニに立ち寄った被害者が不審な男に付きまとわれている様子がコンビニ店内に設置されているカメラに写っていたので早期解決、と犯罪早期解決に結びついた。
それでも「人権派」は「殺人事件を解決しただけで、防げなかったのだから、防犯効果はない」と主張したが、「再犯を防いだ」「住民の不安を早期に取り除いた」などの反論で、その「プライバシー侵害」の声は小さくなった。現在では市民の多くが「防犯カメラ」の価値を認めるようになった。地下鉄の電車内に防犯カメラを設置する計画が発表されているが、反対する声はほとんど聞かれなくなった。
情報技術の社会への適用には最初、きわめて大きな抵抗が生じるが、それも現実が修整して行ってくれる。変化に抵抗する人は想像力で「抵抗派」の声に同調してしまうが、時間をかけて現実をみれば価値観を変えて行ってくれる。
焦らずに、正当な議論を言い続けること、現実を開示して納得してもらうこと、その粘り強い努力が必要だ。