情報化推進国民会議の解散に思う

投稿者:nakajima 投稿日時:火, 2017-04-04 09:09

「企業の寿命は30年」という説があるが、企業以外の組織にも当てはまるものらしい。官・民・労・消費者、有識者など国民各層が集まって組織した「情報化推進国民会議」(児玉幸治委員長)が「十分に使命を果たした」として、3月末に解散した。それが、発足から32年だった。
筆者も慶應大学の教授時代から専門委員会のメンバーとして参加、最近の10年は専門委員会委員長として、各種の提言作りにかかわって来た。思い出深いのは、警察庁と協力して「コンピューター不正アクセス禁止法」成立を後押ししたことだ。ちょうど国境を越えたサイバー攻撃が急増していたころで、「ネットの自由」を標榜するネット市民の反発を受けながら、刑事罰を伴う取締法を成立させた。また、「国民総背番号制反対」の強い声の中で、住民基本台帳ネットワークの推進、マイナンバー制度の啓蒙・普及など、日本の情報社会の基礎をなす重要な情報政策の提言を行ってきた。
後半には、コンピューターソフトウェア協会の専務理事だった前川徹さん(現国際大学グローコム所長)に座長となってもらい、専門委員会の実質的な委員長業務を担ってもらった。提言内容はネット市民の反発があったので、ネットで個人的攻撃を受けるものだったが、前川さんが前面に立って引き受けてくれて、たいへんに助かった。
政策提言は、時々の担当大臣、麻生太郎総務大臣、竹中平蔵IT担当大臣、高市早苗総務大臣らに手交したが、それぞれの大臣との意見交換が興味深かった。
また、情報政策について情熱をもっている平井たくや衆議院議員にも提言書を持って行き、熱心に聞いてもらった。平井議員は国民会議の場にも何度も足を運び、情報関連の政策や情報社会ビジョンについて熱弁をふるっていただいたが、記念すべき解散の委員会でも「官民データ活用推進基本法」についての講演をお願いした。
講師席の隣に座った筆者に「国民会議がなくなっちゃうのは残念で、寂しいね」と残念がっていた。
しかし、国民会議は十分に使命を果たした。変化の激しい情報社会で、「情報化推進」「国民会議」というような用語そのものが時代に合わない古臭い言葉のように感じるようになった。組織を改革して時代に合わせる方法もあるが、新しい時代には新しい組織を作る、という方法もある。国民会議は後者を選んだ。
目を転じてみると、全国ソフトウェア協同組合連合会も30年になる組織である。改革がなければ寿命を迎えるところだが、幸い、連合会には改革を担う新しい幹部が逞しく育ちつつある。組織の細胞が生まれ変わって、躍動的な新しい活動が増えて来ることを楽しみにしている。